ギンズバーグ「個人にとっての職業選択は『妥協』である」
「個人にとっての職業選択は、生涯にわたる意思決定のプロセスであり、変化する自分のキャリア目標と世の中の職業との現実をどのように『最適化』するか、繰り返していく。」
ギンズバーグという研究者は、人が職業を選ぶことについて、このように述べました。
これを当初は「妥協」と言ったがために、大きな批判を浴び「最適化」と修正したんですね。
とは言え、「妥協」という表現は、一面では正しいと言えます。
それは、「職業」と「希望者」で言えば、人気の職業ほど、椅子の数の方が少ないから。
飛行機のパイロットと、パイロットになりたい人。
いつの時代も、後者の方が多かった。
だから、椅子に座れない人は「妥協」して、別の職業に就くしかなかったんですね。
その中で経験を積み、(雇用されるよう)「最適化」していくのが「キャリア形成」つまり「職業選択」でした。
誰もが「なりたい自分」になれる時代になってきた。
私はいつも「永続する理論・技法はない」とお伝えしていますが、このギンズバーグの理論も、修正をすべき時期が近づいています。
もちろん、弁護士や税理士になりたいなど、まだまだ「椅子」の方が少なく、なれない職業もあります。
しかし今は、誰でも「youtuber」になれる。
誰でも「ネットラジオDJ」になれる。
誰でも「ジャーナリスト」になれる。
誰でも「ダンサー」になれる。
キャリアコンサルタントになるには、試験に合格する必要がありますが、「キャリアカウンセラー」なら誰でもなれる。
お金を稼げるかどうかは別として、なりたい自分になれる時代が来たわけです。
「妥協(最適化)」から「生き方(在り方)の時代に
また、複数のキャリアでお金を稼ぐ。そんなことが当たり前になりました。
ライターをしながら、ブロガーになる。
会社員として営業をしながら、ギターを教える、などですね。
このように当初批判された「妥協」の理論は、確かに当時は正しかったとしても、現代にマッチするとは言えなくなってきています。
特に令和に入り、キャリア形成は、雇用されるための「妥協(最適化)」から「生き方(在り方)」の時代になったと言っても過言ではありません。(コロナでこの流れが多少中断されましたが)
大抵の場合、国のやることは、遅くて的外れなことが多いのですが、キャリアコンサルタントが国家資格化された平成28年には、既にこの流れは生まれていました。
もはや、「職業能力開発促進法」の「キャリアコンサルティング」も時代遅れです。
職業能力開発促進法上の「キャリアコンサルティング」は、「労働者の職業能力開発」を指導助言するモノ。
しかし、今やキャリアコンサルティングとは、
労働者ではなく
「個人」の
職業能力開発ではなく
「生き方(在り方)」、つまり「キャリア」の
相談に乗る。サポートをする。
これが令和の時代の、そして「本当の」「キャリアコンサルティング」です。(法律的には、法定外キャリアコンサルティングになります。)
時代に合わせた柔軟な思考で支援する
「ヒトと職業の最適な関係」つまり、「幸せ」は「人それぞれ」。
だからこそ、多くの理論が生まれるし、古くなり時代に合わない部分が出てくる。
あなたがキャリアコンサルタントなら、「時代に合わせた柔軟な思考」を、常に意識する必要があります。
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